サイレント・エレキ

サイレントバイオリンとエレキバイオリンはどう違うのですか?

こういう質問をよく見かけますが、これに回答するのは結構難しいです。というのは、サイレントバイオリンの定義が曖昧だからです。

言葉本来の意味で言えば、サイレントバイオリンというのは静かなバイオリンと言うことでエレキである必要はありません(エレキであっても良い)。「練習用に共鳴胴をなくして音を小さくしたバイオリン」がサイレントバイオリンということになります。この手の楽器は昔からありましたが一般に普及したものではなく名称も「サイレント・バイオリン」「ミュートバイオリン」「プラクティス・バイオリン」などとさまざまな呼ばれ方をしていました。




同様にエレキバイオリンというのは、電気増幅できるバイオリンと言うことで(電気を使わないときの)音が小さい必要はありません。共鳴胴があろうがなかろうが「電気増幅できるバイオリン」がエレキバイオリンということになります。こちらも昔からあってエレキギターと変わらない歴史があります。

ただし、日本で「練習用の音の小さなバイオリン」が世に認識されたのはヤマハサイレントバイオリンが最初で、ヤマハサイレントバイオリンは電気を使ってヘッドフォンで音が聞けるのを売りにしたエレキバイオリンでした。又、日本でエレキバイオリンが世に認識されたのもヤマハサイレントバイオリンが最初でした。それで、サイレントバイオリンというのは「共鳴胴が無く音が小さい電気で音の聞けるバイオリン」という風に認識されるようになりました。

ヤマハサイレントバイオリンがヒットを受けてさっそく中国製などの安価なサイレントバイオリンが色々と発売されました。ところがヤマハが「サイレントバイオリン」というのを商標登録したものですから、他のメーカーはサイレントバイオリンと名乗れないために「エレキバイオリン」と銘打って「小さな音で練習できます、ヘッドホンで音が聞けます」と言って売り出しました

こんなことから「エレキバイオリン」=「サイレントバイオリン」と認識されるようになり、本来はステージで大音量に対応するための楽器であったエレキバイオリンが「練習のために音を小さくした楽器」かのように扱われるようなことにもなりました。

その後、ヤマハがエレクトリックバイオリンという名で本来の用途向けのエレキバイオリンと発売したり、エレキバイオリンが(以前より)普及したことによりバンドなんかでバイオリンを使おうとするミュージシャン達によって、エレキバイオリンが練習用の楽器というイメージも薄れ本来の「電気増幅したバイオリン」という意味で認識され、「サイレントバイオリン」のほうはヤマハの発売したエレキバイオリンの機種名という認識になっているようです。
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by jazzcello | 2008-05-30 18:43 | music
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