金のサックス・銀のサックス

某掲示板に投稿したちょっとした小話。

金のサックス・銀のサックス



男はやっと手にいれた念願のビンテージ物のテナーサックスを手にして家路を急いでいました。
男は早く家に帰ってそのテナーサックスを吹いてみたくて急いでいたのでした。

「わあ。」

あんまり急ぐあまりに男は足元にあった石につまずいて倒れてしまいました。そしてつまずいた拍子になんとサックスは男の手を離れすべっていき、横にあった堀におちてしまいました。

「ああ・・・なんということだ」

嘆く男の前に堀の中から白髪の老人が現れ、びっくりする男に言いました。

「わしはこの堀の主だが、お前の落としたのはこれか?」

と老人が示したのは金ピカのテナーサックスでした。

「いいえ違います。」

男が答えると老人はもう一度掘りの中に消えていき、また浮かび上がって言いました。

「お前の落としたのはこれか?」

今度は銀ピカのテナーサックスでした。男の持っていたビンテージでは無いので男は言いました。

「いいえ違います。」

すると、堀の主は再度別のテナーサックスを堀の中から持ってきました。

「ではこれか?」

それはまさしく男のテナーサックスでした。

「ああ、これです。これが私のです。」

そう言って男が手を出そうとすると、老人は言いました。

「お前は正直ものだ。その正直に免じて、金のサックスも銀のサックスも上げよう。このおんぼろはもういらんじゃろう」

そういって老人は煙とともに消えてしまいました。
男の足元にはいつのまにかぴかぴかの新品のサックスが2本置いてありました。
男はサックスを見て言いました。

「なんだ、現行モデルじゃん。ならせめて片方はソプラノにしてくれよお。」
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by jazzcello | 2004-12-27 22:07 | music
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